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〈自著の紹介〉『戦後思想の再審判』(法律文化社・2015年)

昨年(2015年)10月に刊行した私どもの論文集『戦後思想の再審判』ですが、1月25日の毎日新聞が書評欄で取り上げてくれました。

私自身も、ピープルズプラン研究所のニュースレター「自著の紹介」というコーナーに、『戦後思想の再審判』についての短文を書きました。もしお暇があればご笑覧ください。
          
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〈自著の紹介〉『戦後思想の再審判』(法律文化社)
大井赤亥・大園誠・神子島健・和田悠編 2015年10月5日刊行 3000円+税・266頁 法律文化社

本書は、丸山眞男から柄谷行人まで戦後日本の12名の思想家を対象とし、1970年代以降代生まれの中堅若手執筆者がその思想を「再審判」したものである。本書企画の際、編者に共有されていたのは、「戦後啓蒙」を同時代的に肯定した1950年代の「戦後民主主義」言論とも、またその克服を目的化した1980年代以降のポストモダンとも異なり、「戦後啓蒙」に対する賛否を踏まえた上で、その肯定的遺産を掬い出そうとする複眼的視点であった。

もとより、丸山らに代表される「戦後啓蒙」への批判と評価について、そのどちらにバランスを置くかは執筆者間でも差異がある。私は比較的、「戦後啓蒙」の肯定的遺産の継承を重視しており、その背後には、「戦後啓蒙」が格闘してきた問題圏から現在の私たちはすでに抜け出てしまったのかという私自身の疑問が横たわってきた。「古臭い説教」とされてきた「戦後民主主義」を新たに継承する必要は、立憲主義擁護など極めて「クラシカルな課題」が問われた2015年安保をへて、一層強まったと感じる。

本書については、毎日新聞(1月25日)が、「ロスジェネ世代による読みやすい戦後思想論」という書評を載せてくれた。しかし、いくつかの批判的指摘も寄せられている。たとえば、①戦後思想におけるマルクス主義の基底力が捨象されている(武藤一羊氏)、②本書執筆者に3・11の衝撃が薄い(清原悠氏)、③本書の射程が「戦後日本」という時空に閉じられており世界秩序への意識が希薄(関正則氏)といった指摘をいただいた。これらはいずれも、形式的には「〇〇がない」という「外在的批判」ながら、その実、戦後思想のアクチュアリティを抽出する上で極めて重要な「内在的批判」であり、今後に向けて拳々服膺したい。

政治社会の変革は、世界的に共通な「普遍的傾向」を踏襲する側面と、その政治社会に固有の運動や思想の蓄積、いわばその「経路依存性」に即して展開される側面とがあろう。「戦後」という状況の上に経路依存的になされてきた日本の思想的営為の、何を批判克服し、何を継承発展させるか。重要なのはそれらを見分ける複眼的審美眼であり、本書がその一助になれば幸甚である。
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by akai1127ohi | 2016-02-02 00:15 | 日本政治思想史 | Comments(0)

18歳選挙権-「何のための」選挙権か?

選挙の度に役所の待合室や駅の広告などで「選挙に行きましょう」という選挙管理委員会の「啓蒙ポスター」を見るが、その反面、選挙で「どこに入れたか」は、飲み屋の酒飲み話でも会社の同僚の間でも、ご法度とされる。

「選挙に行きましょう」というスローガンは「お上公認」で誰でも言える。
しかし、「〇〇党に入れよう」と言った途端に価値対立が生じて、小難しいことになる。

でも、本当に大事なのは、どんな社会をめざすべきかという価値判断であり、各人が各様の価値判断を持ちながら、それらが相互に持続的に議論できる政治文化の醸成だろう、という思いがする。

先日、勤務先の女子大の授業で18歳選挙権の話題に触れた時、教壇の上から、

「僕がここで『選挙に行きましょう』って言っても何の問題もないけど、『〇〇さん/〇〇党に入れましょう』って言った途端に問題になって、下手すりゃ首になる。でも、大事なのは、どんな社会を理想とするか、そのためにはどの政党が一番適切な投票先か、それを話し合えることなはずなんだけどなあ」

と言うと、前方で聞いてた数人の学生がクスっと笑いながらうなずいていた。

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18歳選挙権のブックレットに、私もコラムという形で寄稿しました。慣れない「です/ます」調だと妙に説教臭くなるのが若干違和感ですが、賑やかしまでご報告です。

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18歳選挙権が実現し、新たに約240万人の有権者が加わることになります。これは日本の民主主義にとって大きな変化ですが、本コラムではあえて、18歳選挙権の実現「だけ」では政治は何も変わらない、ということを強調したいと思います。

日本では男子普通選挙権に次いで、1945年に女性参政権が実現します。しかしこの際、女性運動家の山川菊栄は、「男子の時には国体の変革を恐れた支配者層も、女性参政権は政治の急激な変化を起こさず、むしろ保守勢力に有利なことも多いと考え、子供がひとのおもちゃをほしがる程度のもの」と安心してこれを受け入れたと見抜いています。事実、女性もまた、男性同様に戦後の保守政治を支えてきました。

山川菊栄の告発は、第一に、参政権の意義は「なんのために」という目的を離れてはありえないことを示しています。参政権は「理想の社会」を近づけるための手段であり、それをめぐる各人の価値観と切り離せません。換言すれば、選挙に行くのと同じくらい、「どの候補者/政党に入れるか」という判断が重要なのです。

現代社会では、政治課題は複雑になり、万能の解決策はどこにもなく、ポピュリズムなど極端な意見が関心を集めがちです。各人が政治的判断を研ぎ澄ませるためには、正確な情報を集め、自身の考えを練り、他人の意見を尊重しながらオープンに熟議できる文化が一層重要になるでしょう。

第二に、投票は民主主義における政治参加の一手段にすぎず、選挙後も多様な意見表出の機会が実現されなければなりません。民主主義とは「誰もが主権者の座から降りられないシステム」であり、政治の決定は「お上」が行うものではなく、常に「われわれ」がその権利と責任の担い手だからです。

たとえば現在の政治制度は代表を通じて決定する代議制を採っていますが、死票の多い選挙制度、女性議員の不足、世襲議員の常態化などにより、その機能不全が指摘されています。2011年以降、日本では脱原発や安保法制反対を掲げたデモが頻発しており、代議民主主義に対する同様の「異議申し立て」はアメリカやアラブ諸国を含めて世界的傾向となっています。このような直接行動は、投票と並んで民主主義を補完する方法であり、多様な意見が存在する健全な社会の証拠でもあります。

かつて政治学者の丸山眞男は民主主義を、固定的な「制度」ではなく、活発な「運動」によって常にその制度を刷新していく「永久革命」であると表現しました。18歳選挙権は、それを通じて何を実現するかという率直な議論と、政治参加の多元的方法への模索と結びついた時に初めて、「永久革命」の車輪を再び動かす大切な契機となるはずです。
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by akai1127ohi | 2016-02-02 00:13 | 政治時評 | Comments(0)
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