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Modest Comments on contenporary politics by Akai OHI (Twitter:@AkaiOHI)。
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坂本義和『人間と国家』(岩波新書、2011年)

坂本義和『人間と国家(上・下)』(岩波、2011)を読んだ。それなりに坂本著作を読んできた私にとっては既知もあり、また既知から推測できる未知もあったが、日高六郎『私の憲法体験』(ちくま、2010)同様、今という時点で残される、戦後「岩波知識人」の自伝としての側面と意義を感じた。とりわけ、総長補佐として関わった東大闘争の記述は、人物の描写と評価の双方で、特異な記録的価値を感じる(下巻10・11章)。

戦争体験の継承、日本国憲法の政治学的正当化、アジアとの和解など、戦後の「岩波知識人」が直面した問いは依然として「われわれ」の問いでもある。同時に、ロスジェネ世代といわれる今の30代にとって、先進国の貧困、格差、社会保障の再構築など、独自の課題があることも印象づけられたという気もする。

                    ***

かつて図書館の書庫で古い総合雑誌を紐解く過程で、日韓国交正常化(1965年)に関する坂本義和と宮沢喜一の論争的対談を読んだことがある。朴政権を相手とした国交回復に反対する坂本と、朴政権以外に韓国の正統な代表政府があるのかと反論する宮沢の議論は平行線だったが、理念に忠実な「学者」と、現実に直面する「政治家」との原理的対決は、南原と吉田の「曲学阿世」論争を想起させるものだった。

今、現実の不可避性を合理的に説明できる政治家はいるか。いやそれより、そのような政治家から「曲学阿世」と呼ばれるに値する学者が、どれだけいるか。

                    ***
     
坂本氏は朝日(7/20)で、「批判力と構想力」を挙げていた。「中立日本の防衛構想」などにつとに坂本氏の「構想力」へのこだわりを感じる。戦後社会党は、安全保障に関する現実的代案の提示に消極的だったため、90年代に権力につくとすぐ、一気に既成事実に押し込まれてしまった。

鳩山が沖縄基地に取組んだ時も、日米安保に代わる防衛構想を真摯に展開しようという左派は、少なかった。安保に関する提案をすぐ「非現実的/ユートピア」とする日本「現実主義」(リアリズムではない)と、軍事に関する話を一切拒否する心情的左派の間で、「構想力」の継承は意味があるだろう。
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by akai1127ohi | 2011-07-29 01:42 | 日本政治思想史 | Comments(0)

【詩】 本とナメクジ

6月の夜、本が雨に濡れた
大雨が降る中、泥酔した俺は
学生寮の中庭に本を放り投げた
俺は無慈悲に本を凌辱した

朝、俺はようやく本を拾い上げた
雨に濡れた惨めな本をめくりながら
俺は本を凌辱した罪悪感に浸った

本の頁のすき間に
小さなナメクジが入り込んでいた
「ナメクジに塩をかけると溶ける」
子どもの頃に聞いた俗諺を思い出し
俺はそれを確認するため
台所へ塩を取りに向かった

しばらく目を離したあいだに
ナメクジは頁の上を数センチ移動していて
その軌跡は優しい粘液で跡づけられていた

俺はしばらく、それを見つめた

人は今、心の一番脆弱な所を隠している
心を石の様に硬化させて
傷つけられないように防衛している

俺は指の腹の一番柔らかい部分でナメクジを掬いあげると
ナメクジが草の上に這い移るまで
ゆっくりと待った
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by akai1127ohi | 2011-07-25 23:05 | | Comments(4)

辛亥革命百周年によせて(4)

NHKのドキュメンタリー番組のいくつかは、文字通り、「蒙を啓く」ものがある。
東京の片隅の学生宿舎の一室にいながら、アフガニスタンの青年、ハイチの家庭内労働に従事する子どもたち、ニューヨークのイタリア系移民の人生に、私の想像力を運んでくれる。

                    ***

NHKドキュメンタリーWAVE『パリの中国人~天安門事件 亡命者たちの日々~』を見た。

映画『亡命』で取り上げられた鄭義、高行健、王丹などは比較的有名だが、無名の亡命者たちも多い。パリで過ごす二人の中国人亡命者に焦点をあて、彼らが今年(2011年)2月の中国版「ジャスミン革命」の動向を見守るまでを描いている。中東の民主化を受けた中国内での改革運動は抑えられ、したがって、番組もやるせない思いを引きずる形で終わっている。

                    ***

亡命者たちと中国国内の人々の「愛国」をめぐる差異/齟齬は、実に隔靴掻痒だ。いずれも「愛国」を自認しつつ、「愛国=愛党」と前提視する中国の人々に対して、亡命者たちは、「愛国」ゆえに海外からの反政府運動を持続させている。

その背後には、「党国家」という中華人民共和国の誕生経緯があろう。中国は、共産党が国家を担っているのではなく、共産党が「国家を作った」のであり、党と国家は同一である。そこでは、「愛国」と「愛党」は乖離/分離されておらず、重なっている。

しかし亡命者は、中国を離れてなお、「祖国」としての「中国」を思慕し、懐かしく思っている。そして中国を離れてなお、中国共産党に対する批判を続けている。

観念の上で「党」を「国家」から引き離す必要、そして「党」から引き離された「中国」それ自体を、中国の人々が改めて「担い直す」という、観念の組み換えが渇望されているように思える。
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by akai1127ohi | 2011-07-22 00:54 | Comments(0)

菅首相「KAN-FULL BLOG」(原発に依存しない社会へ)

菅首相「KAN-FULL BLOG」(7月14日:原発に依存しない社会へ)より、以下転載。

                    ***

昨日の記者会見で、私は「原発に依存しない社会をめざす。段階的に原発依存度を下げ、将来は原発が無くてもやっていける社会を実現する。」という基本的な考えを表明しました。

3月11日の震災、原発事故を体験して、私自身、原発に対する考え方が変わったことも、率直に会見で述べました。それまでは、「安全性に十分注意を払って原発を活用する」という考えでした。しかし、震災発生からの1週間、官邸に泊まり込んで事態の収拾に当たっている間、私は原発被害の拡大をどうやって抑えるか、本当に背筋の寒くなるような毎日でした。原発事故は、今回のように一旦拡大すると、広範囲の避難と長期間の影響が避けられません。事故のリスクの大きさを考えると、原発に依存しない社会を目指すべきである、と考えるに至りました。

昨日の記者会見の発言に対して、具体的な道筋が明確でないといった疑問も呈されていますが、官邸サイトに寄せられる御意見メールやツイッターなどでは、発言を支持するとの大きな反響をいただいています。まずはこうして方向性を明確にすることが大切で、これから具体的な道筋の本格的議論が必要だと考えています。

その“具体的な道筋”の重要な1歩である再生可能エネルギー特措法案が、いよいよ今日から国会で審議入りしました。何としても、成立させていただきたいと思います。更にその先の長期的な道筋についても、既に「エネルギー・環境会議」が先月下旬に始動し、国家戦略担当相を議長として、革新的なエネルギー戦略の策定を目指しています。

また、「エネルギー・環境会議」では、今月末頃を目途に「当面の電力需給の安定」に関する考え方も示す、と今日、玄葉大臣が国会答弁で明言しました。---原発が無くてもやっていける《次の時代》へと、如何に混乱なく移行してゆくか。具体化の作業は、1歩1歩進んでいます。
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by akai1127ohi | 2011-07-16 01:45 | Concerned Citizen | Comments(0)

菅首相「脱原発依存」宣言

菅首相が「脱原発依存」を明瞭にした。



                    ***

率直に応援したい。
同時に、菅首相という「上部権力」が官僚と電力といういわば「下部構造」に触れるにつれ、メディア報道にそれこそサブリミナルのような一定の「型」を感じる。

いわく、「地元は政府の再三の方針転換に困惑する結果となった」、「国会はまたしても混乱をきたしている」、「政治は一刻も早く混乱を収拾してほしいと街の人の声です」……。

政府方針それ自体にではなく、それをめぐる政府の「対応」に巧妙に意識を向けさせ、「地元/庶民/国会」といった漠然とした集合名詞が、「またしても/再三/またもや」、「困惑/混乱/戸惑い」に陥っている、というのだ。それ以上でも以下でもなく、そしてこれを繰り返している。

そのような報道は、結果的に、首相(周辺)と経産省/電力会社との対峙構図を見えにくくしているし、それを目的化しているとも思える。実際、原発に反対する人々が、「地元=反権力=弱者」という思考方式で、本来なら最も批判的な目が向けられなければならない佐賀県知事や玄海町長をさえ「善玉」と思わせる誤解を誘導している。

このようなメディアの論調に乗っかって菅首相を批判することほど楽なことはなく、またそれほど「多数派」に安住することはない。

                    ***

鳩山は日米安保という外交の「下部構造」に素手でさわって、メディアの恐ろしい集中砲火を浴びて退陣した。菅は今、官庁・電力業界・利権漬けの「地元」という「下部構造」に、触ろうとしている。これを我々がいかにものにさせえるか、今、正念場といえよう。
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by akai1127ohi | 2011-07-15 00:37 | Concerned Citizen | Comments(0)

上関、フクシマ、そして「東京オリンピック」

上関原発に関する映画やドキュメントを見て印象深いのは、漁業を営む人々の、海に対する態度である。漁師は、若いのは気が荒い人も多いが、自然の前では驚くほど「謙虚」です。

中学生時代に釣りキチだった私は、それなりに知っていると自負しているが、漁師はしばしば「あきらめが肝心」と口にする。しけで魚が取れない日は、けっこう早々に諦めます。老練な漁師は、無理をして男気を示そうとする若者には「危ないことしてなんぼじゃないけえのう」と止め、孫には「一人で海に近づくな」と諭したりする。

「ミツバチの羽音―」でも、40年以上鯛の一本釣りにこだわる岡本正昭さんは「この年になっても潮の流れがわからんのう」という。漁師は、海を「支配」しようなどとは考えないのだろう。また、海は「借り物」であり、決して自分の所有物ではなく、将来に次ぐ遺産であると「諦念」している。

                   ***

スキューバダイビングが趣味の東京都知事は、酸素ボンベをつけて海に潜り、モリで魚をつき、「海を支配する」のが趣味だそうだ。しかし、本当に海と暮らす人間は、絶対に海を「支配」しようなどとは思わない。都知事の「海好き」は、月に一回しか料理を作らない男が「趣味は料理」と吹聴するのと似ていると思います。

                   ***

あの大震災の後、「津波で我欲を洗い流せ」と、誰かがうまいことを言った。

全くその通りだ。米軍基地を沖縄に押しつけ、原発を福島や山口に押しつけ、その背景の上に空疎な繁栄を築いてきた、東京の我欲こそ「洗い流す」べきだろう。

その東京が、震災の「復興記念」を口実にオリンピックに名乗りを挙げた。

                   ***

秋葉前市長が提唱していた広島オリンピック構想に、私は少数派ながら内心応援してきた。しかし、微妙に東京再挑戦をひいきする JOC と、新しく誕生した市長によって、広島オリンピックは断念された。「震災」を理由に広島がオリンピック招致を放棄したのも理解しがたいが、「震災復興」を口実に東京がオリンピック招致するのは、もっと理解しがたい。

福島原発は、首都圏に電力を供給するために稼働してきた。その福島原発の事故を、またもや東京が「震災復興」という名目でオリンピック招致の理由づけにする、この論理の不自然さに、驚くべきものを感じる。

           
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by akai1127ohi | 2011-07-03 02:06 | Concerned Citizen | Comments(0)

朝日新聞への投稿 (没原稿)

 政治学者の丸山真男はかつて、新聞が関心を移行させるにつれ、いつのまにか一つ前の不正を既成事実化し、無意識の「重点移動」を行うことを、「新聞主義」の弊害として注意喚起した。
 
 内閣不信任をめぐるこの間の本紙にも、同様の弊を感じる。不信任案が採決された6月2日の社説は、大義なき倒閣を急ぐ自公および小沢氏らを批判するものであった。6月3日の社説は、与野党双方を批判し、首相の譲歩と自公の協力的姿勢を要求している。

 しかし6月4日論説は、「こうなった以上は潔く早期退陣を鮮明」にするよう求め、6月11日社説は、野党の無責任な態度を「許し難い」としながらも、焦点を「止まってしまった政治を、どうやって動かすのか」に求める。そして6月21日論説では、菅首相の政治作法一般を問題化しつつ、政治の動きの「鈍さ」を首相側に転化し、即時退陣を迫るにいたる。

 「もともと、危機の中で『菅おろし』に走った与野党議員は無責任の極みだった」(6月4日社説)とすれば、国会閉塞の直接的原因は自公と小沢氏らにあろう。しかし、いつのまにかこの点がぼやけ、現状打開と首相退陣が結びつけられた。これは、「その事の依ってきたる所以を別として」首相は辞任せよ、というに等しくないか。新聞の再考を促したい。(526字)

                
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by akai1127ohi | 2011-07-02 00:47 | Concerned Citizen | Comments(0)
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