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Modest Comments on contenporary politics by Akai OHI (Twitter:@AkaiOHI)。
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京都・奈良(完) 奈良・東大寺と山野辺の道

早朝の京都駅のカフェでコーヒーを飲んでいると、がらがらなのに私の横に座ってきて話しかけてくるおじいさんがいた。スリか新興宗教かといぶかったが、元来が運動不足と会話不足を解消するための旅、心を開いて話すことにした。

関空建設の経緯、ロシアのパイプラインなどにやたら詳しいので、元商社マンあたりかと思ったら、現役時代は大阪の教育委員会で働いていたという。そのおじいさんに、奈良の東大寺の支柱には大仏の鼻の穴の大きさの穴が開いており、そこを通ると健康になれるという逸話を聞いた。

「ほら、外国の人はヒップが大きいでしょう?ヒップが引っ掛かって大変ですねん。」

おじいさんは結局、スリでも新興宗教でもなかった。

               ***

今回の京都行きで感じたことの最たるものは、明治維新以降の「日本人」が、いかに資本主義的生活様式に対する抵抗力を欠如させていたかということです。私にとって、9世紀の寺や神社を見せられても、これが同じ「日本列島」に住んだ人間の営為かとにわかに信じられないくらいforeignに見えます。日本が「近代化」の過程で、いかにそれまでの生活様式を破壊・排斥し、無抵抗かつ無批判に資本主義を摂取してきたのかということを、嫌というほど感じさせられました。

経済の合理性や効率性の席巻に対抗して、あくまで従来の生活様式の美徳に固執し続けるという意味での「保守主義」が生じえないアジアの近代国家としての位置も感じました。京都に限らず、車優先の開発や不動産投機から、少なくとも今まだ残っているものを、「保守」する重要性に共鳴します。

賛否両論ある原広司設計の京都駅にも、私は今回の京都訪問ではっきりと批判的な態度をとることにしました。コンクリートの高層建築、人口140万の京都に、東京に対する「あわよくば」的な野心を感じます。京都はコンクリートという土俵で勝負する街ではないはずです。

               ***

三日目、Wさんと、日帰りで奈良まで足をのばす。
私は奈良は初体験で、まず東大寺に行った。

人口36万の奈良は、京都と同じく日本列島のold capitalとはいえ、リスボンと同様、ゆっくりとした時の流れを感じ、私は好きになりました。

京都駅のカフェでおじいさんが教えてくれた、東大寺大仏の鼻の穴の大きさの柱の穴は、私にとって感動的な場所でした。

柱の穴の入口には修学旅行の小学生が長い列をつくっている。
穴を出たところに修学旅行のカメラマンが構えていて、鼻の穴をくぐった小学生たちを一人一人撮影している。穴は案外小さく、小学校高学年にもなると、ヒップどころか肩幅で引っ掛かります。


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するりと出てくる生徒もいれば、

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引っかかって大変は生徒もいます。

「お前、カメラに背を向けてどないするんや!」
「あ、○○が出てきた」

穴の向こう側には大勢の人だかりができて、一人また一人と隙間から出て来る度に、何かしらの歓声が挙がります。それだけで泣けてくるような気持ちになったのは、私のセンチメンタリズムでしょうか。映画「学校」で、山田洋次が夜間学校の修学旅行地に奈良を選んだ理由もよくわかりました。

               ***

Wさんに連れられ、奈良時代から存在する小道、「山の辺の道」を歩いた。
道中、野菜の無人販売所があり100円のトマトを二つ購入し、歩きながら食べた。
心地よい疲れがトマトの甘みに敏感にさせ、これは野菜ではなく完全に果物だと実感した。

               ***

左手に山、右手に奈良盆地、そしてそこに広がる人間の暮らしが見えます。


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写真は引き裂いてしまえば終わり。
絵画はコーヒーをこぼしてしまえば変質する。
しかし、本物の自然の光景は、引き裂くことも、どどめ色に変容させることもできない。
人為を越えた向こう側から、ただただ恐るべき包括力をもって、私を包みこんでくる。

奈良盆地の光景を見降ろし、その光景に立ち会った偶然性に喜ぶと同時に、その光景を他人へ伝えることのできない伝達不可能性の前にただただ押し黙るだけだった。
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by akai1127ohi | 2009-10-19 02:51 | Comments(0)

「夜を賭けて」

「夜を賭けて」(2002年、日本・韓国)

梁石日原作。
1958年の大阪、兵器工場跡から鉄屑を拾い出す「アパッチ」たちの話。良い映画だと思いました。山本太郎の熱演も光ったが、私にとっては、何より朴保の音楽が良かった。8月広島での朴保のライブの際は買いしぶった、「夜を賭けて」のサウンドトラックを、さっそくアマゾンで購入した。

月のきれいな夜に、こんな歌でも口ずさんでみたいものだ。



               ***

「血と骨」(2004年、日本)

こちも梁石日原作。
「夜を賭けて」を見た後にこの映画を見ると、やや既視感があります。

ただ、オダギリジョー演じる「息子」に、私はひどく共感を覚えた。
在日1世(たけし)は、朝鮮語交じりの日本語を話すが、生み捨てられた在日二世は、朝鮮語を話すことはできず、どの言葉を話すかというと、広島弁を話します……。

               ***

雨の降る朝鮮長屋の路地でたけしと「息子」の二人が殴りあうシーンがある。6・4で「息子」の形成不利。私はある種のエディプス・コンプレックス的なものを喚起させられ、心中、underdog である「息子」の一発逆転を強く願っていた。

               ***

最後に、いずれも梁石日原作の両映画は、在日を描く線の引き方が一定です。両映画に共通する限界として、当然ながら、「暴力」と「ジェンダー」の二点が指摘されている。価値ある何か他のものを描き出したことによって、これらの問題群は不問に付される、とはならないのだろう。
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by akai1127ohi | 2009-10-13 03:05 | Comments(0)
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