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Modest Comments on contenporary politics by Akai OHI (Twitter:@AkaiOHI)。
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オバマと「民主的な文化」を作り出す力

オバマ大統領来広。

現職大統領の広島訪問の意義を大に感じつつも、やはり政治家としてのオバマの卓越さが如実に表れるのは、アメリカの歴史を想起させながら、人々の政治性と主権者意識を喚起し、アメリカなるプロジェクトを自らの思い描く形に引き寄せる、アメリカ国民への演説と感じる。
          
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四学期制の駒場での英語授業の最終回に、オバマのラトガー大学卒業式での演説を教材として利用する。



大学卒業式の演説ゆえ、主として学問論の建前をとりながらも、「壁の発想」(トランプ)に対する明確な批判、そして何よりその背後にある「反知性主義(anti-intellectualism)」に対する驚くほどまっすぐな批判を展開している。以下、印象的だった部分を訳出してみます。

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「(20:18~)壁を作ることは問題を解決しません。壁は経済を活性化することもないし、われわれの安全を高めることにもなりません。イスラム教徒を孤立化させ軽蔑すること、入国に際して彼らを他の人々と差別して扱うこと、それは、われわれ合衆国の価値への裏切りだけでなく、われわれのアイデンティティ(who we are)への裏切りだけでなく、暴力的な原理主義に対するわれわれの闘いに際しての、われわれの最も重要なパートナーとまさにそのコミュニティを追いやることなのです」

「国境の南端に終わりなき壁を作ること、移民の試練を論難すること、それは、「人種のるつぼ」としてのこの国の歴史に反するだけでなく、われわれが、世界中の果てから人々を引きつける魅力によってその成長、イノベーション、ダイナミズムを喚起してきた事実に反するのです。それがわれわれがアメリカを形作ってきたやり方です。なぜ今それを放棄する理由がありますか?」

「三番目に、事実、証拠、理性、論理、科学への理解。これらは重要なことです。……われわれは伝統的にこれらの価値を重んじてきたはずです。しかし、みなさんがこんにちの政治討論に触れるならば、きっと思うでしょう。この反知性主義(anti-intellectualism)の波はどこから来たのか?と。だから、2016年度卒業生の皆さん、これだけは明確にさせてください。政治でも生活でも、無知は美徳ではありません。自分が何を話しているかに無知なことは、ダサいことです。……」

「この国の建国者たちは啓蒙の子(born of the Enligtenment)でした。彼らは迷信、偏狭な仲間意識、部族主義、人種的偏見を克服しようとしてきました。彼らは合理的な思考と実験主義、よく物事を理解した市民が自分たちの生活をよくしようとする能力を信じてきました。……」

「そして今日、皆さんのポケットにはすべてスマートフォンがあります(聴衆笑)。ワンタッチで巨大な量の情報にアクセスできます。しかし皮肉なことに、情報の洪水は必ずしも私たちの真理を見極める力を高めていません。それはむしろ、われわれがより一層無知に居直ること(more confident in our ignorance)を可能にしています。ウェブ上にあることは何でも真理であると考え、われわれの先入観を補強するようなサイトを探します。独断が事実として虚飾され、もっとも粗野な類の陰謀説が絶対的真理のように流通します」

「事実の否定、理性と科学の否定、それは衰退への道です。私はカール・セイガンの言葉を思い出します。すなわち、『われわれは私たちの進歩を、探究する勇気とそれに対する応答の深さによって、「何が耳に聞こえがいいか」ではなく「何が真実であるか」を深く受け止める進取の精神によって判断する』」

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あらためて舌を巻くのは、「文化」を創り出すオバマの卓越した手腕で、これは圧巻というしかない。政治不信、社会閉塞、格差や奨学金負債など、おそらく多くの問題が山積するアメリカで、言葉が若者の心を捉え、力強い言葉で自分の側に引きつけている。

自分の側に引きつけるという意味は、アメリカの若者を、知性や共感、異なる他者への寛容、デモクラシーへの信頼、そうした価値に引き留め、繋ぎ止めようとする、という意味です。そういう「側」に引き寄せ、そういう「文化」を創り出す力です。

換言すれば、そのような若者の心が、反知性主義、後ろ向きの解決、社会閉塞ゆえの差別など、そのような方向に流れていくのを、「阻止する力」でもある。

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おそらく、日本でも、橋下維新などを支持する若者層も、どこか、現在の社会に対するある種当然な不満と、その現状を打破したいという、ポジティブな意識があるはず。

「政治家は何も仕事していない/変えられない」という、日本でもおなじみの政治不信は、一方で橋下維新的なものに回収されると同時に、何かきっかけがあれば、回路があれば、より知性的で、他者との共同性に開かれ、より持続的にこの社会の問題を見つめ、それを解決していこうとする、そういう方向性への「繋ぎとめられる」はずだろう。

そのための「文化」を創り出すこと。
オバマに学ぶことは多いはずだろう。
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by akai1127ohi | 2016-05-30 03:11 | 政治時評 | Comments(0)
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