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Modest Comments on contenporary politics by Akai OHI (Twitter:@AkaiOHI)。
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2015年安保がもたらした変化:③「リベラルな政治価値」の擁護と「ネオリベラルな経済原理」への対抗

2015年安保がもたらした第三の変化は、運動の思想的性格をめぐるものであり、極めて図式的だが、さしあたり、「リベラルな政治価値」の擁護と「ネオリベラルな経済原理」への拒否との共振の萌芽と形容しておきたい。

SEALDsを媒介とした国会前デモの思想は、立憲主義の擁護にしても、国民主権の再確認にしても、またそれらを支える、それぞれが自律的に思考して自分で判断し行動する個人の形成にしても、端的に「リベラルな政治価値」の再確認であった。中野晃一は、国会前デモの特徴を「いわゆるマルキストとか、左派、革新の運動ではなくて、個人主義、自由主義のマスムーブメントだということ 」に見いだしているが、2015年安保のクラシカルな性格を言い当てるものであろう。

しかし同時に、そのような若者の運動の背景に、「生活の不安感が増している現実」もまた広く指摘されてきた。交通費が捻出できずミーティングにも参加できない学生や、奨学金で多額の借金を背負う大学院生などの声は、安保法案反対の訴えの背後に、陰に陽に垣間見られた現実であった。その意味で、2015年安保も新自由主義的統治という経済的文脈から離れては存在しえず、したがって、「リベラルな政治価値」を擁護する運動が「ネオリベラルな経済原理」に対してどのような態度を決定しえるかは、今後の焦点の一つとなろう。

他方、元来このような「ネオリベラルな経済原理」に原則的な立場で対抗してきたマルクス主義出自の革新政党はどうだったか。たとえば共産党は、民主党政権時代からTPPや法人税減税、雇用の流動化といった課題で最も原理的な基軸を体現してきたといえる。

しかしながら、2011年の東日本大震災以降、これまでの動員型運動とは別の回路で生じた脱原発デモを受けつつ、旧来の革新政党もまた、独善性や教条主義を過去のものとしながら、新しい運動文化と順応、並存するようになった。また、民族差別やLGBTなど伝統的には「階級闘争」に従属するとされてきたマイノリティの課題に対し、その闘争の主翼を担うようにもなった。2015年安保もまた、このようなマルクス主義出自の左派政党の変化を掉さすものであったといえよう。

安倍政権という「クラシカルな反動」に直面して、デモによって可視化された世論の突き上げを受けながら、複数の勢力が一体となって「クラシカルな応答」を突きつけた2015年安保の力学は、いわば、「リベラルな政治価値」の擁護と「ネオリベラルな経済原理」の拒絶とを結びつける可能性を秘めている。そのような力学の最も政局的な現れが、来たる2016年参院選に向けた民主党と共産党による選挙協力の試みであり、安倍政権に代わる「次の政権」の枠組をめぐる模索であろう。

民主党政権が民衆的基盤を欠いたがゆえに挫折したというのであれば、それは民衆的基盤を作りえなかった民主党の責任であると同時に、民主党を自分たちの政権へと鋳り直すことのできなかった、われわれ民衆自身の責任でもあるだろう。「アベ政治を許さない」という流行語は、それが本気であればあるほど、アベ政治に代わる「次の政権」を作り出して支える民衆の力に転化するはずである。

では、そのような民衆との力とは何か?

それは、9月18日から19日の未明にかけて、議会での採決直前におよんで今なお、この国の主権者として自分たちの意志を反映させようと、デモの人波から自然と湧き起こった、あの「野党がんばれ」というコールの、その先にあるものであろう。

                    ***

2015年の夏を彩ったSEALDsの言葉を追っていると、時折、重要な局面で「賭け」という言葉に遭遇し、2015年安保の高揚がそのような「賭け」を契機としていたことを想起させられる。未来は常に不確定であり、その帰趨は誰にもわからない。しかし、未来が不確定であるということは、われわれがその帰趨を作りえるということでもあり、それは常に一種の「賭け」であろう。

そのような小さな「賭け」が大きな政治変動の巨波を生み出し、今なおその政治変動の帰趨が未来に向けて開かれている時、デモクラシーを「永久革命」と喝破した戦後政治学の言葉を、再び翻訳して見たくなる誘惑に駆られることは、おそらく自然であろう。すなわち、安倍政治が体現する「大日本帝国の虚妄」よりも、2015年安保が示した「戦後民主主義の実在」に賭けると。

2015年安保によって切り拓かれた水路を信じ、何とも見えない未来に向かって、その奔流に連なろうとする「賭け」に、私自身も参画していきたいと考えている。
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by akai1127ohi | 2015-12-09 16:00 | 政治時評 | Comments(0)
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