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Modest Comments on contenporary politics by Akai OHI (Twitter:@AkaiOHI)。
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Emma Watson, "Gender Equality is Your Issue Too"

非常勤の英語授業で使おうと、学生受けするエンターテイメント性があり、同時に硬派で社会的テーマをあつかった英語圏の視聴覚教材を You Tube で収集していると、やはりジェンダーや LGBT に関する演説に行き当たることが多い。人種差別、ジェンダー、LGBT……、そのような課題に対する日本と欧米の「常識」の違いは、恐ろしいものがあります。

M大学の英語授業で、エマ・ワトソンの国連スピーチ "Gender Equality is your issue too" を取り上げ、学生全員で和訳の上、スピーチを試聴。いつも「少女」に夢を託す宮崎駿的な思考様式という人もいるかもしれませんが、スピーチとして大変卓越しているので、印象に残った箇所についてのみ触れておきます。



               ***

エマ・ワトソンのスピーチの「一つめの山」は、フェミニズムをめぐる議論への、男性に向けた「正式な招待状」の送付だろう。

エマ・ワトソンは、フェミニズムが定義上「男女同権主義」である以上、自分自身も「フェミニスト」であると自覚してきたが、最近、「フェミニズム」という言葉が「不人気な言葉」であると気づいたという。

なぜか?(以下私訳)

(1:51)
the more I have spoken about feminism the more I have realized that fighting for women’s rights has too often become synonymous with man-hating. If there is one thing I know for certain, it is that this has to stop.

フェミニズムについて話せば話すほど、私は、女性の権利のための闘いが、「男性嫌い(man-hating)」と同義語として流通していることをわかってきました。私が今確実に言えることは、この状況は変わらなければならない、ということです。

(6:21)
In 1995, Hilary Clinton made a famous speech in Beijing about women’s rights. Sadly many of the things she wanted to change are still a reality today.

But what stood out for me the most was that only 30 per cent of her audience were male. How can we affect change in the world when only half of it is invited or feel welcome to participate in the conversation?

Men—I would like to take this opportunity to extend your formal invitation. Gender equality is your issue too.

1997年にヒラリー・クリントン氏が北京で女性の権利について有名な演説をしました。残念ながら、彼女が変えたかったことの多くは未だに現実として残っています。

しかし私が一番引っかかったのは、その演説の聴衆のうち、男性がたった3割がだったことです。もし全体の半分しか招待されなかったり会話に入るのが歓迎されない状況だったら、どうやって世界に変化を与えることができるでしょうか。

男性にみなさん。今日この機会を使って、私はあなた方へ私から「正式な招待状」をお送りしたいと思います。ジェンダーの平等は、あなた方の問題でもあるからです

               ***

第二に興味深いのは、「inadvertant feminist」という言葉。

エマ・ワトソンは、自身がこれまで「思いもかけないフェミニスト(inadvertant feminist)」に恵まれてきた、という。たとえば、娘に生まれたがゆえ両親から「より少なく愛される」ことはなかった。女学生だからといって学校で教師から教育を制限されることはなかった。いつか子どもを産むかもしれないからといって上司から不利を被ることもなかった。

これらの人々は、すなわち、フェミニズム(男女同権)を「論じる人々」というより、それを「論じるまでもない当然の前提」として「振る舞う」人といえる。それをエマは、「inadvertent feminists」と呼んでいる。

「inadvertent feminists」は、このスピーチのなかで最も訳しにくい言葉で、あえていえば「偶然の/思いがけない/隠れたフェミニスト」というような意味といえようが、スピーチ全体の文脈においては実に説得的に響きます。

               ***

第三に興味深いのは、「ジェンダーの平等」を論じる締めの部分で、E・バークの言葉が引用されていること。見事な「思想の恣意的かつ効果的利用」であり、その直後に、このスピーチの決め台詞、「if not me, who? If not now, when?」が出てきます。

(9:57)
You might be thinking who is this Harry Potter girl? And what is she doing up on stage at the UN. It’s a good question and trust me, I have been asking myself the same thing. I don’t know if I am qualified to be here. All I know is that I care about this problem. And I want to make it better. And having seen what I’ve seen—and given the chance—I feel it is my duty to say something.

English Statesman Edmund Burke said: “All that is needed for the forces of evil to triumph is for enough good men and women to do nothing.”

In my nervousness for this speech and in my moments of doubt I’ve told myself firmly—if not me, who, if not now, when. If you have similar doubts when opportunities are presented to you I hope those words might be helpful.

みなさんは疑問に思うかもしれません。「このハリー・ポッター少女は何してるの?」、「国連の舞台でお前がなんでまたジェンダーを?」――。もっともな疑問です。そして、信じもらいたいのですが、まさにそれと同じ疑問を、私自身、自問自答してきました。私は、ジェンダーの平等に関心を持ち、それを改善したいと思ってきましたが、自分がこの場で話す適任者だという自信はありません。しかし、これまで自分が現状を見てきた以上、そして話すチャンスを与えられた以上、何かを話すことは私の義務だと受けとめました。

イギリスの政治家、エドモンド・バークはこう言っています。「悪徳の力が勝利するためには、善人がいれば十分である……。すなわち、何も行動しない善人が(good men and women to do nothing)」。

このスピーチの準備にあたって不安のなかにいるとき、また、私でよいのか疑問に襲われたとき、私は自分に固く言い聞かせてきました。「私でなくて誰、今でなくていつ(if not me, who, if not now, when)」。もしあなたにチャンスが与えられたとき、そして同じような疑問や不安のなかにいるとき、この言葉があなたを勇気づけることを望みます。

               ***

何かの社会的発言を行うとき、それに伴う不安や迷いのなかにいるとき、「私でなくて誰、今でなくていつ(if not me, who? If not now, when?)」という言葉が、当人の背中をふっと押す、ということは、リアリティがあります。「フェミニズム」という言葉をめぐっては色々な議論があるでしょうが、スピーチの技巧としても優れていると思います。

来年のノーベル平和賞、憲法9条にまた思わぬ強敵が現れはしないかと、と心配な思いです。
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by akai1127ohi | 2014-11-27 01:14 | 散文 | Comments(0)
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