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Modest Comments on contenporary politics by Akai OHI (Twitter:@AkaiOHI)。
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Hiroshima 2011(4)―樺美智子『人知れず微笑まん』と道浦母都子『無縁の抒情』(その2)

道浦母都子『無援の抒情』(雁書館、後に岩波現代文庫)は、全共闘の闘争や恋愛を対象とした歌集で、いわゆる団塊の世代における「一つの時代の青春の代弁者」(近藤芳美)とされる。1947年生まれの道浦は、早大文学部二年で、1969年1月19日の東大安田講堂「落城」をむかえている。

道浦の短歌の対象は、闘争の挫折、イデオロギーに分断される恋愛、親子間の闘争、日共批判やセクト間の内ゲバなどです。(以下、【小見出し】は引用者)

               ***

【闘争】
炎あげ地に舞い落ちる赤旗にわが青春の落日を見る
夜を徹しわが縫いあげし赤旗も故なき内ゲバの血に染まりゆく

【恋愛】
言葉交わせば傷つけあうしかない二人地下の茶房に向かい合いたり
敗れざる党を持つ君さいわいと告げてしだいに寂しくなりぬ

【父子】
釈放されて帰りしわれの頬を打つ父よあなたこそ起たねばならぬ
燃ゆる紅失せて滅びし父の旗越えて私の青春が行く

               ***

私の読後感としては――-戦い敗れたわが青春、今では戦場に荒涼とした風が吹いている・・・・・・(てん、てん、てん)、という感じです。

事実の指摘として、道浦においては学生時代の「政治化politicalization」は、闘争挫折後は持続しません。「“前歴”からであろう、さまざまな市民運動や運動組織からの誘いもあるが、よほどのことがない限り、直接かかわることはしない。社会的問題への関心を失ったわけではないが、『運動』はもう自己の領域ではない」(後藤正治、「わが世代を歌う―道浦母都子小論」、『無援の抒情』、p258)。むしろ、壮年以降の作品の傾向は、直裁に私生活主義への回帰を示すものも見られる。

【生活への沈潜】
土曜日はバラの束買う平安をいつしかわれも愛しはじめぬ
<世界より私が大事>簡潔にただ率直に本音を言えば
変節というならばいえうつむきて涙ぐみよりほかなきわれを

うつむいて涙ぐむ人にまでその「変節」を責める気はしませんが、68-9年の学生運動を詩的、回顧的に表現すると、どうしても自己否定的ノスタルジーの印象が拭えないのが正直な感想です。

他方、学生運動からの「退却」は、作者のなかで、結果として、「女性」性への意識とその対象化をもたらしているのかもしれない。

【女性】
誰にでも叶いてわれに叶わざる「平凡にして泣きやすき妻」
水の婚 草婚 木婚 風の婚 婚とは女を昏くするもの
ポシェットは肩から腰へすべり落ちフェミニズムさえわれを救えず

               ***

人は自らの「同時代」に参画し、それを作ることができる。そこに人の自由と栄光がある。だが同時に、人は、「同時代」の人為を超えた「大きな流れ」に呑み込まれてもいる。そこにおいて自由は制限されるとともに、責任もまた緩和されていく―――。

いわゆる全共闘運動の達成を批判的に「吟味」することは必要だが、その「論難」を目的化する気はありません。道浦における「女性」性の対象化と詩的表現を、樺の時代には希薄であった、新たな意義として捉えたい。
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by akai1127ohi | 2011-01-15 08:11 | Comments(0)
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