Modest Comments on What I Have Read


Modest Comments on contenporary politics by Akai OHI (Twitter:@AkaiOHI)。
by akai1127ohi
プロフィールを見る
画像一覧

Hiroshima 2011(3)―樺美智子『人知れず微笑まん』と道浦母都子『無縁の抒情』(その1)

帰省中、樺美智子『人知れず微笑まん』(三一書房、1960年)と道浦母都子『無援の抒情』(岩波現代文庫、2000年)を読んだ。期せずして、この二つの著作はそれぞれ1960年と1968年の経験を当事者が詩的に表現している点に共通点がある。また、樺、道浦とも逮捕・留置所経験がある点も共通する。

他方、相違点としては、(1)樺は1960年で道浦は1968年。(2)樺は運動の渦中でいわば現在進行形で書き残し、道浦は運動が終焉した後にいわば回顧的に書いたという点。(3)本人たちの気質や性格の違い。

そのような差異を自覚しつつも、両書が与える読後感は、およそ対極的です。樺『人知れず微笑まん』から感想を記しておく。

               ***

樺美智子の魅力は、優等生気質と反逆児気質との実に見事な内的連続性です。一方で努力家で典型的な文部省優等生でありながら、他方で、一旦そのまじめさが指示すればマクロ権力だろうがミクロ権力だろうが徹底的に反抗する。『人知れず微笑まん』の読後感として浮かんでくるのは、徹底的にまじめなゆえの徹底的な反抗者としての樺美智子像です。そのストイックな勉強への姿勢と行動主義は、吉田松陰の「知行合一」を想起されるものでもある。

               ***

「まず第一に誇りと謙虚とをもってお知らせすることがあります。11月8日、私の二十歳の誕生日は私の入党記念日(党員候補)になりました。」(樺美智子、20歳の時の友人への手紙。『人知れず微笑まん』、p112)

「大学三年生のときでしたろうか。・・・・・・夕食のあとでございますが、主人も同席しているところで、『美智子、あなたは共産党に入党したりしていないでしょう』と聞いたのです。すると、『共産党?あら、私、党員なんかじゃないわ』と明るい返事をしました。それで安心してほっと胸をなでおろしたんですけれども、このとき美智子はもうブントのほうへ入っていたんですね。ですから、たしかに共産党員ではなく、嘘はついていないんですが、もっとすごいところへ入っていたんですよねえ」(樺光子の回想。江刺昭子、『樺美智子 聖少女伝説』、文芸春秋、p131)

               ***

樺は、文学部「国史」科の助手だった「青木」という先輩に、「国史を勉強してらっしゃるのは、なんのためなんですか」という質問をしている。助手「青木」は、そのような質問は、「正直にいうと、忘れていたほうが毎日の仕事がスムーズに片づく」としながら、「私らは先生や先輩をからかうときにしか、そんな質問はしなかった」(『人知れず微笑まん』、p238)という。

樺美智子は、凡人が「からかい」で言うことを「まじめに」発する人だったのだと思います。この助手は答えをはぐらかすが、「下唇を噛んで、ちょっと興福寺の八部衆の誰かに似た表情の樺さんの眼は、納得しなかったようだし、私自身にも、ごまかしたという痛みが残った」(同、p238)という。

他方、樺自身は、大学一年時、歴研のアンケートにこう答える。
「どんな学問をやるにせよ、学問のための或いは自分(ないしは自分を中心にした少数の人)のための学問としてではなく、全ての人が人間を回復する方向へ現実の社会を前進させるための学問としてやることが先ず第一。従って研究の内容とともに、いやむしろその成果の活かし方こそが問題。・・・・・・卒業後は史学か経済学方面の研究機関にはいりたい。それが駄目なら○○・・・・・・またこれが駄目なら△△・・・・・・。いずれにしろ苦しいのは承知の上で何らかの形で研究を続けたい。」(p125)

               ***

江刺昭子『樺美智子 聖少女伝説』は、「日本のジャンヌ・ダルク」にまで高められた樺美智子を脱神話化するものですが、脱神話化された、等身大の樺美智子こそ考えさせられるものが多い。江刺の次の指摘に同意したい。「自分が堕ちそうなとき、立ち返るべき原点を彼女は示してくれている。樺美智子はそういう人だったのだ」(江刺昭子、『樺美智子 聖少女伝説』、文芸春秋、p310)。
[PR]
by akai1127ohi | 2011-01-14 01:56 | Comments(0)
ブログパーツ
カテゴリ
以前の記事
フォロー中のブログ
最新のコメント
メモ帳
最新のトラックバック
venusgood.com
from venusgood.com
http://while..
from http://whileli..
http://www.v..
from http://www.val..
愛国心を育てる名言
from 愛国心を育てる名言
愛国心を育てる名言
from 愛国心を育てる名言
愛国心を育てる名言
from 愛国心を育てる名言
イカー!イーカチュー!!
from イカチュウ
総員第一種戦闘配置!!
from 司令
しょーすしょすしょすw
from びえぶ
ちょちょちょ(^^;
from さい8
ライフログ
ファン
記事ランキング
ブログジャンル
画像一覧